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「胸やけ」の症状・原因・薬による
対処法・予防法について解説します。

兵庫県立はりま姫路総合医療センター 院長
胸やけの症状

「胸やけ」とは胃のあたりから胸の前のあたりが、下から上の方に向かって熱くなるような感覚で、酸性の胃液が胃から食道の下部に流れ込んだときに食道粘膜が刺激されて起こると考えられています。
すっぱい胃液が喉の所に上がってくるような症状(これを呑酸:ドンサンと言います)も一緒に起こることがあります。
特にたくさん食べたときや脂っこいものを食べたとき、アルコール飲料やコーヒーを飲んだときなどに起こりやすいことがわかっています。肥満傾向の方やお腹を締め付ける服装をする方にも起こりやすいです。夜寝ているときに起こってびっくりすることもあります。
胸やけの原因

※イメージ図
はっきりとした「胸やけ」症状があれば、その原因はほぼ胃酸であると考えることが可能です。胃酸が食道に逆流して食道や胃と食道の境界部を刺激して症状が起こっているのです。
胸やけの薬による対処法
「胸やけ」症状がある場合には胃酸が症状の原因になっていることが多いので、胃酸を減らす薬を飲むと症状が消えることが多いです。世界で広く使用されている胃酸分泌抑制薬のPPI(ピーピーアイ)がよく効きます。
3日間服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止し、医師または薬剤師に相談しましょう。また、2週間服用しても症状が強く残るようであれば、他の病気の可能性もありますので医療機関を受診しましょう。
胸やけの予防法
一度にたくさん食べるのは避ける。脂っこいものを食べるのは避ける。これらを守っていただき胃酸が出すぎないようにしてください。
肥満傾向の方はお腹周りの脂肪が胃を圧迫してしまうため、運動などで内蔵脂肪を少しずつ減らすことにも意識を向けてみましょう。
また、お腹を締め付ける服装を避けることで、胃酸の食道への逆流が少しでも起こりにくくすることができます。
アルコール飲料、たばこは胃酸の逆流を増やしますのでやはり避けてください。
夜に症状が強く起こる方は、食事の時間を少し早めてみましょう。 また、寝るときにベッドの頭側に大きめの枕や座布団を敷いて上半身を少し高くしてみてください。酸の逆流が減ります。また、右側ではなく左側を下にして横を向いて寝ると症状が軽くなります。
「胸やけ」の症状は40歳ぐらいを超えると起こりやすくなってきますので気を付けてください。
<参考資料>
- 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021
- 機能性ディスペプシア(FD)診療ガイドライン2021
- 消化性潰瘍診療ガイドライン2020