胸やけは、食べ物の消化などのために胃から分泌される「胃酸」とよばれる強い酸が食道に逆流してしまうことで起こります。はっきりとした「胸やけ」症状があれば、その原因はほぼ胃酸であると考えることが可能です。
胃酸を含む胃の内容物の逆流が、喉や口までおよんで酸っぱさや苦さを感じることを「呑酸(どんさん)」といいます。喉の奥や胸のあたりが焼けるような感じが長く続き、何度も水を飲んだり唾を飲み込んだりしたくなることもあります。
げっぷは胃の中のガスや空気が、食道を通り道にして口から排出される生理現象のこと。ただし何も食べていない時にもげっぷを繰り返したり、げっぷをすると酸っぱい胃液がこみ上げてきたりする時は、胃の不調から来ていることも。
食後2~3時間までは胃酸の逆流が起こりやすく、胃酸で食道がただれて粘膜が刺激されたり、胃の粘膜が刺激に敏感になっていたりすることが原因で、胃が痛むことがあります。
また、胃酸が十二指腸に流れ込むことで、「胃の痛み」の症状が起こることもあります
喉のあたりの不快感やつかえ感、慢性的な咳は、胃の内容物が喉まで逆流することで、胃酸へのバリアを持たない食道がただれたり、逆流物が喉まで達して気管に入ったりすることなどが原因と考えられています。胸やけなどの胃の不調と咳や声のかすれなどの症状が併発することも。
胃潰瘍および十二指腸潰瘍の症状として、腹痛や背中の痛みの他、食欲がない、吐血、下血(大量出血の場合は泥状の黒色便)、貧血などの症状もあり、注意※が必要です。
※ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍は医師による診断が必要です。疑わしい症状がある場合は、速やかに受診しましょう。
胃もたれは、胃酸の分泌が過剰になることで胃の運動機能の低下が関連している症状の一つです。胃の中の食べ物を腸に送り出すぜん動運動に支障をきたし、食べ物がいつまでも胃に留まってしまうことで、食後のもたれ感を引き起こします。また、胃酸が十二指腸に流れ込むことで、胃もたれの症状として感じることがあります。
胸が締めつけられるように痛い、胸が焼けるように痛い…と感じるのは胸痛です。前かがみになった時や食事と食事の間に胸の真ん中あたりの痛みが続く場合は、胃から来る痛みの可能性が。前かがみでお腹が圧迫されると胃が押され、胃液が逆流しやすくなります。狭心症などの心臓疾患でも胸の痛みが起こることがあり、注意※が必要です。
※ 狭心症をはじめとする心臓疾患は医師による診断が必要です。疑わしい症状がある場合は、速やかに受診しましょう。
市販の胃腸薬成分には、胃酸を中和する制酸成分、ヒスタミンH2受容体に働き胃酸の分泌を抑制するH2ブロッカー、胃の粘膜を保護することで胃酸による刺激から胃を守る胃粘膜保護成分、胃の消化機能を助け、食べ過ぎや飲み過ぎなどによる消化不良を緩和する消化酵素成分などがあります。
食事の時間が不規則になっている、または大きなストレスを抱えているなど、以前と比べて生活面で変化していることはありませんか?
いま服用しているお薬が、あなたの症状に合っていない可能性があります。胸やけ・胃のもたれ・胃痛に対して検討される「PPI(プロトンポンプ阻害薬)」などは試してみましたか?また、PPIを含む胃腸薬などで対策をしても改善しない場合、症状が強く長く続く場合は、医療機関での検査や治療が必要な可能性があります。
ピロリ菌に感染していると、胃もたれや胃の不快症状が出る場合もあれば、無症状の場合もあります。ピロリ菌の感染経路は80%以上が家族内感染で、母親と小児の関係のように長期間におよぶ密接な接触が必要とされています。若い世代のピロリ菌感染率は低くなってはいますが、ご家族にピロリ菌の感染歴がある場合や胃の不調が長く続いている場合は、ピロリ菌の感染検査を検討してもよいでしょう。ピロリ菌の感染状態は自然には消えることはなく、放っておくと胃がんのリスクとなります。忙しいから、といってそのままにしていませんか?(実感はなくても胃はダメージを受けています)ピロリ菌に対する治療薬はすでに有効な薬がありますから、早めの受診をおすすめします。
就寝中は胃酸の逆流が起きやすく、胃酸が上がってきて胸やけがする、喉に不快感がある…といった逆流症状と睡眠障害の関係は強いといわれています。特に体の右側を下にして寝ると胃が食道よりも上になり、逆流しやすくなります。